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2024年臨時会での討論!

2024年11月8日に行われた臨時議会で、決算報告について討論を行いました。

反対したのは以下の決算。

決算第1号令和5年度広島市一般会計歳入歳出決算

決算第8号令和5年度広島市後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算

決算第9号令和5年度広島市介護保険事業特別会計歳入歳出決算

決算第10号令和5年度広島市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算

決算第11号令和5年度広島市競輪事業特別会計歳入歳出決算

決算第15号令和5年度広島市開発事業特別会計歳入歳出決算



その理由の一番は福祉と教育を軽視している市政運営だからです。

「にぎわい」づくりにはしっかりと予算をつけるのに、子どものための施策は「継続性」「公平性」を理由に削減をしています。とくに、放課後児童クラブの有料化、就学援助の基準切り下げはその最たるものです。子育て世帯に負担を増やすことに何の躊躇もない行政に「政治の貧困」と嘆かざるを得ません。


以下は討論原稿です。長いので、暇な時にでもお読みください

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まず、決算第1号令和5年度広島市一般会計歳入歳出決算、決算第8号令和5年度広島市後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算、決算第9号令和5年度広島市介護保険事業特別会計歳入歳出決算、および決算第10号令和5年度広島市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算について、一括で反対の理由を述べます。


松井市長は、決算の説明で、令和5年度は物価高騰対策を最優先で取り組んだと述べておられますが、自助共助の枠を出ず、公助の役割を果たしていません。物価高騰で経営に不安を持っている中小業者への直接支援はなく、他の自治体で取り組んでいるような子育て世帯の負担軽減になる給食費の無償化もしませんでした。


一方で、「にぎわい」づくりのための大型開発には税金がどんどん使われています。とくに、広島高速5号線と広島駅南口広場の再整備事業の二つの大型開発事業だけで、前年から23億円も決算額が増えています。このしわ寄せが広島に生きる子どもや子どもに関わる分野に及んでいることを指摘しなければなりません。


とくに、昨年度から始まった放課後児童クラブの有料化、令和4年度からの就学援助の認定基準の切り下げは、子育て世代の負担を増やすものです。就学援助の認定基準を切り下げた結果、世帯所得は変わらないのに、認定されなくなった世帯では、小学校で平均約7万円、中学校で約9万円。入学の年には小学校で12万円、中学校で15万円負担が増えました。


一方で、令和5年度の教育振興費のうち児童の教育扶助にかかる扶助費の執行残が約1億円ありました。その理由について、教育委員会は、世帯所得が増えたからという答弁でした。教育委員会自身が基準を切り下げた結果、就学援助を使えない子どもが増えたことに対して、そのような言い換えは、欺瞞でしかありません。前年度と世帯所得が変わらないのに、自分たちが勝手に線引きを変え、子育て世帯に負担を増やしているという自覚を持つべきです。


また、子どもの医療費補助制度は、全国で最低レベルなうえに、所得制限と所得基準を温存したままです。給食の無償化にもいまだに後ろ向きです。こうした広島市の態度は、子育てを応援しようという他の自治体の流れから大きく逆行しています。子育てしやすいどころか、子育てへの経済的不安、負担が大きくなっています。


とりわけ、就学児童がいる世帯に受益者負担を押し付けてきた結果として、広島市市民意識調査の「広島市は子育てしやすいまちだと思う市民の割合」が、令和元年の53.4%から令和5年は11ポイントも下がったことに表れています。この5年で、松井市長の子育て政策が評価されなかったということではないでしょうか。


さらに深刻なのは、保護者のうつ・不安障害相当と考えられる割合が、6年前の調査と比べて、20%以上となっていること、「子育てがつらいと感じることの方が多い」という回答で、就学児童がいる世帯では平成30年調査から0.9ポイント増加しているということです。


こうした実態が、市が行った調査でも明らかになっているにもかかわらず、そこに目を向けようとせずに子育て世帯に冷たく、大型開発には熱中する市政運営は容認できません。大型開発で若い世代や子育て世帯を呼び込むという古い発想から抜け出し、市民の暮らしを支える公助の役割を発揮する市政運営を求めます。


子どもの育ちを保障するためには、保護者の経済的不安を取り除くことが重要です。広島市で子育てをしていくために経済的支援をしてほしいという声、増加する子育てが「つらい」という人の声、さらに、うつ傾向も増加している実態に心が寄せられない行政が、「子育てしやすいまち」として選ばれるでしょうか。


子どもを産む産まない、いつ産むか、何人産むかという、リプロダクティブヘルス・ライツ(性と生殖の健康と権利)は、女性の人権として尊重されるべきものですが、今、若い世代が子どもを産みたくても産み育てることに経済的困難があるということを認識するべきです。そこに手当をしようとしない広島市の運営は「政治の貧困」と言わざるを得ません。


子どもに関わる分野に関して述べます。こども基本法や子どもの権利条約では、「意見表明権」が保障され、「子どもにとっての最善」を考慮しなければならないとされています。しかし、広島市は学校プールや学校給食のセンター化について、子どもの利益に関わることであるにもかかわらず、子どもの声を聞くという立場に立っていません。そこには、私たち議員も含め、「子どもにはわからないだろう」という考えがあるのではないでしょうか。


本来、私たち大人には、子どもの発達段階に応じて物事を説明する責任があります。また、広島市が財政状況に基づく判断をして、子どもの意見を全て取り入れることができなかったとしても、子どもがどんな考えを持ち、どんな発想をするのか、その声に耳を傾ける必要があります。


子どもが意見を聞いてもらう、意思決定に参加できるということは、それ自体が主権者としての自覚を育み、教育の目的である人格の形成にも大きな効果を与えることは間違いありません。これは、子どもが将来地域社会で主体的に力を発揮することにもつながります。その点からも、今からでも、学校施設の今後については、子どもの意見を聞くべきです。こどもの権利条約が生かされないまちであり続けるのならば、「世界に誇れるまち」とは言えません。


市民生活の面では、相次ぐ物価の値上げの下、自助共助と称して、住民の暮らしを直接支えるような市独自の負担軽減策はありませんでした。多くの市民は、収入は増えず、年金が減らされている中で、医療費の窓口負担の引き上げや国民健康保険料、介護保険料の引き上げに生活が圧迫されています。国民健康保険料は、払い忘れ防止の手立てをとり、収納率が向上していると報告がありました。しかし、保険料が高すぎて滞納せざるを得ない世帯が依然と残されている事実を直視しなければなりません。


国保料の全体の引き下げと、それでも払えない世帯の人員や所得に応じた軽減で、生活状況に見合った保険料にしなければいけません。住民の健康と福祉の増進の役割を担う自治体として、保険料の軽減と生活実態を反映した実効的な保険料軽減の仕組みをつくるべきです。教育と福祉を軽視する今の市政運営は、福祉の心が欠けています。以上の理由から、反対です。

 

決算第11号令和5年度広島市競輪事業特別会計歳入歳出決算は、公営ギャンブルはもはや必要ないとの立場として、賛成できません。ギャンブル依存症が社会問題となり、当事者の立ち直りや家族を含めたケアに力を注ぐ市の姿勢とも逆行していることを指摘しておきます。


決算第15号令和5年度広島市開発事業特別会計歳入歳出決算は、大規模開発事業のために実施されているもの反対です。利益が出たなら、一部でも一般会計に繰り入れて、市民の生活を支えるために使うべきだということを強調しておきます。

以上で討論とします。


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